相続税はいくらからかかる?基礎控除の計算方法と申告が必要なケースを解説
相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えた場合にかかります。たとえば配偶者と子ども2人が相続人なら、基礎控除額は4,800万円です。遺産総額が4,800万円以下なら、原則として相続税はかかりません。
とはいえ、東京23区では地価の高さから課税対象になるケースが全国より格段に多くなっています。「うちは関係ない」と思っていても、自宅不動産を持っているだけで課税対象になる場合があります。まずは基本的な仕組みを確認しましょう。
相続税がかかる基準は「基礎控除」
相続税は、財産を相続した場合に必ずかかるわけではありません。相続した財産の額から借金や葬式費用を差し引くなどした後の額が、一定の額(基礎控除額)を上回るときにのみ課税されます。実際に相続税がかかった方の割合は、亡くなられた方の9.9%程度です(令和5年・財務省)。つまり財産を相続しても10人に9人は相続税を払っていないのが実態です。
基礎控除の計算方法
基礎控除額は以下の計算式で求めます。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
法定相続人とは誰か
配偶者は常に法定相続人となります。それ以外には優先順位があり、第1順位は子(直系卑属)、第2順位は父母(直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹です。上位の順位の人がいる場合、下位の人は相続人になれません。
法定相続人の数え方の注意点
相続放棄した人も人数に含める:相続放棄をした人は法律上「最初から相続人でなかった」扱いになりますが、基礎控除額を計算する際は放棄がなかったものとして人数に含めます。「放棄した人がいるから控除額が減る」という考え方は誤りです(国税庁 No.4152)。
養子は人数に上限がある:養子は原則として法定相続人に含まれますが、基礎控除の計算に含められる養子の数に上限があります。被相続人に実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までです。
具体例で計算してみよう
ケース1:配偶者と子ども2人(法定相続人3人)
基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
遺産総額が4,800万円以下 → 相続税なし・申告不要
遺産総額が4,800万円超 → 申告・納税が必要
ケース2:子どもだけが相続人(法定相続人1人)
基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 1人 = 3,600万円
相続人が1人の場合は基礎控除が最も小さくなります。
相続税がかかりやすい財産の種類
相続税の対象となる主な財産は、現金・預貯金、不動産(土地・建物)、有価証券(株式・投資信託など)、生命保険金(一部非課税あり)、退職手当金(一部非課税あり)、貴金属・美術品などです。
一方、墓地・墓石・仏壇・仏具などは相続税の対象外です(国税庁 No.4108)。また生命保険金と退職手当金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
東京23区では課税対象になりやすい理由
全国平均の相続税課税割合は約9.9%(令和5年)ですが、東京23区では状況が大きく異なります。東京都区内の課税割合は20.3%と全国平均の2倍強です(令和5年分・税理士法人山田&パートナーズ調べ)。
東京23区でこれほど課税割合が高い理由は地価の高さです。地価が高騰している東京では、ちょっとした戸建て住宅をお持ちなら、相続税の基礎控除額を超えて課税対象になってしまう状況です。「うちは資産家ではないから大丈夫」と思い込まず、一度きちんと計算してみることが重要です。
基礎控除を超えた場合の税率
遺産が基礎控除を超えた場合、課税遺産総額に応じて以下の税率が適用されます(国税庁 No.4155)。ただしこの税率は遺産総額に直接かけるものではなく、課税遺産総額を法定相続分で按分した金額に適用します。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | — |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
知っておきたい主な控除・特例
配偶者の税額軽減
配偶者が取得した遺産が1億6,000万円以下、または法定相続分相当額以下であれば、配偶者に相続税はかかりません(国税庁 No.4158)。ただしこの特例を受けるためには申告書の提出が必要です。
小規模宅地等の特例
被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の居住用・事業用の宅地については、一定の要件を満たせば評価額を最大80%減額できます(国税庁 No.4124)。東京23区のように地価が高い地域では、この特例の適用が節税に大きく影響します。適用には申告書の提出が必要です。
未成年者控除
相続人が18歳未満の場合、18歳に達するまでの年数1年につき10万円を相続税から控除できます。
申告期限は相続発生から10ヶ月以内
相続税の申告・納税には期限があります。相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が死亡した日)の翌日から10ヶ月以内に、被相続人の住所地の所轄税務署に申告・納税する必要があります(国税庁・政府広報オンライン)。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が課されます。
また、小規模宅地等の特例などを適用した結果、相続税がゼロになった場合でも申告書の提出は必要です。この点は見落としやすいので注意してください。
こんな方は税理士への相談をおすすめします
以下に当てはまる方は早めに税理士へ
- 東京23区内に不動産(自宅・賃貸・土地)がある
- 遺産総額が基礎控除に近い、または超えそう
- 相続税がかかるかどうか自分では判断できない
- 小規模宅地等の特例を使いたい
- 生前贈与を受けていた・贈与した財産がある
- 相続人が複数いて、遺産分割の方針が決まっていない
チカサポでは東京23区の相続税に対応した税理士を地図から検索できます。
東京23区の相続税申告ガイド
お住まいの区ごとに、地価情報・基礎控除の目安・手続きの流れを詳しく解説しています。
よくある質問
相談時に何を準備すればいいですか?
直近の固定資産税納税通知書(不動産がある場合)、預貯金通帳のコピー、生命保険証券、株式の残高証明書などがあるとスムーズです。何も準備できていなくても、まず相談することが大切です。
遺産総額が基礎控除以下でも申告は必要ですか?
原則不要です。ただし小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減など各種特例を適用して税額がゼロになった場合は、申告書の提出が必要です(国税庁)。
相続税の申告を忘れたらどうなりますか?
期限後申告となり、無申告加算税(原則15〜20%)と延滞税(年利7.3〜14.6%)が課される可能性があります。気づいた時点でできるだけ早く申告してください。
親と同居していたら相続税は安くなりますか?
一定の要件を満たせば「小規模宅地等の特例」が適用され、居住用宅地の評価額を最大80%減額できます。ただし同居の実態・申告の要否・土地の利用状況など細かい要件があり、税理士への確認が必要です。
土地しか財産がなくても相続税はかかりますか?
土地の評価額が基礎控除を超えれば課税対象になります。東京23区では地価が高いため、土地だけでも課税対象になるケースが多くあります。納税資金の準備が必要になる場合があるため、早めに税理士に相談することをおすすめします。
マンションでも相続税はかかりますか?
かかります。マンションの場合、土地(敷地権)と建物(専有部分)それぞれを評価して合算します。2024年から区分所有マンションの相続税評価の見直しが行われており、市場価格と評価額の乖離が縮小しています。マンションの相続は税理士への相談をおすすめします。
生前贈与を受けていた場合はどうなりますか?
2024年以降の制度改正により、相続開始前7年以内(段階的に延長)の暦年贈与財産は相続税の課税価格に加算されます。また相続時精算課税制度を選択した場合も贈与財産が相続税に合算されます。生前贈与がある場合は必ず税理士に申告内容を確認してもらいましょう。
相続税の申告はどこにしますか?
被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する税務署です。東京23区であれば各区の税務署が対応します。e-Taxを使った電子申告も可能です。
相続が発生したらまず何をすればいいですか?
まず法定相続人の確認と財産の洗い出しを行いましょう。不動産がある場合は土地の評価が必要になるため、早めに相続税専門の税理士に相談することをおすすめします。申告期限(10ヶ月)は思ったより短く、葬儀・法要と並行して手続きを進める必要があります。
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※本記事の情報は国税庁・財務省・東京国税局等の公式情報をもとに作成しています(令和6年6月時点)。個別の税務判断については税理士にご相談ください。
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