相続登記の必要書類一覧【チェックリスト付】3パターン別に取得方法を解説

相続登記の必要書類は、遺産の分け方によって3パターンに分かれます。「遺産分割協議で分ける場合」「法定相続分どおりに分ける場合」「遺言書がある場合」の3つです。どのパターンに当てはまるかを最初に確認することが、書類収集の第一歩です。

2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。過去の相続も対象です。まず必要書類を把握して、早めに手続きを進めましょう。

まず結論:必要書類は7種類

相続登記で必要になる書類は、基本的に次の7種類です。

  1. 被相続人の出生から死亡までの戸籍(戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍)
  2. 被相続人の住民票の除票
  3. 相続人全員の戸籍謄本
  4. 不動産を取得する相続人の住民票
  5. 固定資産課税明細書(または固定資産評価証明書)
  6. 遺産分割協議書+印鑑証明書(遺産分割協議を行う場合)
  7. 登記申請書(自分で作成または司法書士が作成)

遺言書の有無や遺産分割の方法によって追加書類が変わります。詳しくは以下のパターン別一覧で確認してください。

相続登記必要書類チェックリスト

まず自分のケースに合ったパターンを確認し、チェックしながら書類を集めてください。

【全パターン共通】

  • ☐ 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍(出生から死亡まで全て)
  • ☐ 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • ☐ 相続人全員の戸籍謄本(現在のもの)
  • ☐ 不動産を取得する相続人の住民票
  • ☐ 固定資産課税明細書(申請年度のもの)
  • ☐ 登記申請書(法務局HPからダウンロード)
  • ☐ 相続関係説明図

【遺産分割協議を行う場合に追加】

  • ☐ 遺産分割協議書(相続人全員の実印)
  • ☐ 相続人全員の印鑑証明書

【遺言書がある場合に追加】

  • ☐ 遺言書(自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要。法務局保管の場合は遺言書情報証明書)

【司法書士に依頼する場合に追加】

  • ☐ 委任状

相続登記の必要書類【3パターン別一覧】

以下はすべて法務局公式資料(「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」)をもとにしています。

パターン① 遺産分割協議で分ける場合(最も多いケース)

相続人全員で話し合い(遺産分割協議)をして、誰がどの不動産を取得するかを決めた場合のパターンです。

誰の書類か書類名入手先
被相続人(亡くなった方)戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍(出生から死亡まで全て)本籍地の市区町村
住民票の除票(または戸籍の附票)住所地の市区町村(または本籍地)
法定相続人全員戸籍謄本(現在のもの)本籍地の市区町村
印鑑証明書(遺産分割協議書に押した実印のもの)住所地の市区町村
固定資産課税明細書(申請年度のもの)毎年4月頃に市区町村から郵送
新しい所有者住民票住所地の市区町村
【作成する書類】登記申請書 / 遺産分割協議書(相続人全員の実印)/ 相続関係説明図 / 委任状(司法書士に依頼する場合)

パターン② 法定相続分どおりに分ける場合

遺産分割協議をせず、民法で定められた法定相続分のとおりに登記するパターンです。印鑑証明書と遺産分割協議書が不要になります。

誰の書類か書類名入手先
被相続人戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍(出生から死亡まで全て)本籍地の市区町村
住民票の除票(または戸籍の附票)住所地の市区町村
法定相続人全員戸籍謄本(現在のもの)本籍地の市区町村
固定資産課税明細書(申請年度のもの)毎年4月頃に市区町村から郵送
新しい所有者住民票住所地の市区町村
【作成する書類】登記申請書 / 相続関係説明図 / 委任状(司法書士に依頼する場合)

パターン③ 遺言書がある場合

遺言書に従って相続登記を行うパターンです。遺言書の種類(自筆証書・公正証書・秘密証書)によって注意点が異なります。

誰の書類か書類名入手先・注意点
被相続人遺言書自筆証書遺言(法務局保管でない場合)は家庭裁判所の「検認」が必要。法務局保管の場合は遺言書情報証明書
戸籍謄本・除籍謄本(死亡の事実が記載されたもの)本籍地の市区町村
住民票の除票(または戸籍の附票)住所地の市区町村
新しい所有者(相続人)戸籍謄本(現在のもの)本籍地の市区町村
住民票住所地の市区町村
全員固定資産課税明細書(申請年度のもの)毎年4月頃に市区町村から郵送
【作成する書類】登記申請書 / 相続関係説明図 / 委任状(司法書士に依頼する場合)

※公正証書遺言の場合は家庭裁判所の検認は不要です。
※兄弟姉妹や孫など配偶者・子以外が新しい所有者になる場合は、法定相続人であることを確認できる追加の戸除籍謄本が必要になることがあります(法務局公式資料より)。

各書類の詳細と取得方法

① 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)

相続登記の中で最も収集が大変な書類です。被相続人が婚姻・転籍・養子縁組などを経ている場合、複数の役所にわたって戸籍を収集する必要があります。

2024年3月から「広域交付制度」が始まり、最寄りの市区町村窓口で出生から死亡までの戸籍をまとめて請求できるようになりました。ただしコンピュータ化されていない戸籍は対象外のため、古い戸籍が必要な場合は本籍地の役所への郵送請求が必要になることがあります(法務省 戸籍法改正 令和6年3月1日施行)。

費用目安:戸籍謄本1通450円、除籍謄本・改製原戸籍1通750円

② 被相続人の住民票の除票

登記簿上の住所と被相続人が同一人物であることを確認するために必要です。登記簿と住民票の住所が異なる場合は「戸籍の附票」を取得します。本籍地の記載があるものを取得してください。

費用目安:1通300円前後

③ 固定資産課税明細書(または固定資産評価証明書)

登録免許税の計算に使用します。毎年4月頃に郵送される固定資産税納税通知書に同封されている明細書が使えます。紛失した場合は役所で固定資産評価証明書を取得してください。

東京23区の場合は都税事務所が窓口です(市区町村役場ではありません)。

費用目安:1通400円前後

④ 遺産分割協議書と印鑑証明書

遺産分割協議を行った場合に必要です。相続人全員が合意し、全員の実印を押した遺産分割協議書を作成します。複数の不動産がある場合や相続人が多い場合は司法書士への作成依頼を検討してください。

相続登記をするなら「法定相続情報一覧図」は作るべき

法定相続情報一覧図とは、相続人の関係を一覧にした家系図のような書類です。法務局に申出ると、登記官が確認・認証した写しを無料で交付してもらえます。

この書類を取得しておくと、以下の手続きすべてで戸籍謄本一式の提出を省略できます。

  • 相続登記(法務局)
  • 銀行・証券会社の相続手続き
  • 相続税申告(税務署)
  • 生命保険の請求

複数の手続きを並行して進める場合は特に有効です。戸籍謄本は1部しか原本がないため、銀行ごとに原本を用意する手間が大幅に省けます。相続登記と同時に申出ることをおすすめします。

相続登記にかかる費用の目安

相続登記にかかる費用は「実費」と「司法書士報酬」の2つに分かれます。

登録免許税(実費)

計算式:固定資産税評価額 × 0.4%

固定資産税評価額登録免許税の目安
1,000万円4万円
2,000万円8万円
3,000万円12万円
5,000万円20万円

その他の費用目安

費用の種類目安
登録免許税(実費)4万〜20万円程度
戸籍・住民票などの取得費(実費)3,000円〜1万円程度
司法書士報酬(依頼する場合)6万〜12万円程度
合計目安10万〜30万円程度

東京23区は地価が高いため、登録免許税も相応の金額になります。固定資産税評価額は固定資産課税明細書で確認してください。

書類を集める順番と段取り

  1. 登記事項証明書を取得する(法務局またはオンライン)
    対象不動産の所有者・地番・家屋番号を確認します
  2. 被相続人の戸籍を収集する(出生から死亡まで)
    最寄りの市区町村窓口で広域交付制度を使うと便利です
  3. 相続人全員の戸籍を収集する
    各相続人の現在の戸籍謄本を取得します
  4. 住民票・固定資産課税明細書を取得する
    東京23区は都税事務所が窓口です
  5. 遺産分割協議書を作成・署名捺印する(協議を行う場合)
    相続人全員の実印が必要です
  6. 登記申請書・相続関係説明図を作成する
    法務局のホームページにひな型・記載例があります
  7. 管轄法務局に申請する
    不動産の所在地を管轄する法務局に申請します

東京23区では書類収集に時間がかかるケースも

東京23区の中でも、世田谷区・杉並区・練馬区・江戸川区・大田区などは不動産所有者が多く、相続登記の相談件数も多い傾向があります。また被相続人が転居・転籍を繰り返していた場合、複数の役所にまたがって戸籍を収集する必要があり、1〜2ヶ月かかるケースもあります。義務化の期限(3年)は思ったより短いため、早めに地域の司法書士に相談することをおすすめします。

司法書士に依頼した方がよいケース

  • 相続人が複数いて、全員の同意・連絡が必要な場合
  • 不動産が複数ある、または複数の市区町村にまたがっている場合
  • 被相続人の戸籍が複数の役所にわたって収集が複雑な場合
  • 遺産分割協議書の作成を任せたい場合
  • 過去の相続が未登記のまま放置されていた場合(数次相続)
  • 申請期限(3年)が迫っている場合

よくある質問

相続登記の書類に有効期限はありますか?

戸籍謄本・住民票・印鑑証明書には法律上の有効期限はありません。ただし固定資産課税明細書は申請年度のものが必要です。書類の内容が古くなっていたり、相続人の状況が変わった場合は最新のものを用意することをおすすめします。

戸籍謄本の収集が大変です。楽にする方法はありますか?

2024年3月から始まった「広域交付制度」を使うと、最寄りの市区町村窓口で被相続人の出生から死亡までの戸籍をまとめて請求できます。ただしコンピュータ化されていない古い戸籍は対象外です。また「法定相続情報一覧図」を法務局で取得すると、銀行や税務署など複数の手続きで戸籍謄本の提出を省略できます。

自筆証書遺言があります。何か追加で必要ですか?

法務局に保管されていない自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での「検認」が必要です。検認を受けた後でないと相続登記には使えません。法務局保管の場合は「遺言書情報証明書」が必要です(法務局公式資料より)。

東京23区で固定資産評価証明書を取るにはどこへ行けばいいですか?

東京23区の場合は市区町村役場ではなく、都税事務所が窓口です。各区に都税事務所があります。郵送でも取得可能です。

相続登記の申請はどこにしますか?

不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。自宅や相続人の住所地の法務局ではなく、不動産がある場所の管轄法務局が申請先です。法務局のホームページで管轄を確認できます。

相続税申告も必要ですか?

相続登記(法務局)と相続税申告(税務署)は別々の手続きです。財産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合は相続税申告も必要です。特に東京23区では地価が高いため課税対象になるケースが多くあります。税理士にも早めに相談しましょう。

相続人の一人が海外在住です。どうすればいいですか?

海外在住の相続人は日本の印鑑証明書を取得できないため、代わりにサイン証明(署名証明)と在留証明が必要になります。管轄の在外公館(大使館・領事館)で取得できます。手続きが複雑になるため、司法書士に相談することをおすすめします。

相続人の中に認知症の人がいます。どうすればいいですか?

認知症等で判断能力が十分でない相続人がいる場合、遺産分割協議に参加できないため、家庭裁判所に成年後見人の選任を申立てる必要があります。手続きが複雑になるため、司法書士または弁護士への相談を強くおすすめします。

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※本記事の書類一覧は法務局公式資料「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」をもとに作成しています(令和6年版)。案件によって必要書類が異なる場合がありますので、詳細は管轄法務局または司法書士にご確認ください。

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