【2025年版】補助金・助成金は確定申告でどう扱う?フリーランスが知るべき税務上の注意点とよくある誤解

はじめに

事業を運営する上で心強い味方となる補助金や助成金。「受け取ったのはありがたいけど、確定申告でどう扱えばいいの?」と頭を悩ませる個人事業主やフリーランスの方は少なくありません。

実は、事業に関する補助金や助成金は、原則として課税対象です。適切な処理を行わないと、後から「申告漏れ」を指摘され、ペナルティが課される可能性もあります。

この記事では、**2025年(令和7年)の所得にかかる確定申告(主に2026年初頭に申告)**を見据え、補助金・助成金の税務上の正しい取り扱いと、多くの人が陥りやすい誤解について、個人事業主・フリーランスの目線でわかりやすく解説します。

補助金・助成金は課税?それとも非課税?原則を確認

補助金・助成金の税務区分フローチャート

補助金・助成金を受け取った
⬇️
それは「事業に関するもの」ですか?
YES
課税対象(事業所得として申告)
NO
災害・生活支援などの
非課税事由に該当しますか?
⬇️
YES → 非課税所得
NO → 要確認(その他の所得区分の可能性)

事業のために受け取る補助金・助成金は、種類によって課税か非課税かが異なります。ここを間違えると、税務上の大きな落とし穴となります。

  • 原則:事業に関するものは「課税対象」 事業の売上を補填する目的や、事業に必要な経費・設備投資を支援する目的で受け取る補助金・助成金は、原則として**「事業所得」**として所得税・住民税の課税対象となります。 例:小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、家賃支援給付金(過去の制度だが性質として)など
  • 例外:非課税となるケース 特定の性質を持つ給付金や一時金は、税法や特別法により非課税と定められています。これらは事業所得ではなく、個人の非課税所得として扱われます。 例:
    • 災害によって受けた損害の補填を目的とするもの(被災者生活再建支援金など)学術、文化、社会への貢献に対するもの(特定の賞金など)心身や生活の困窮に対して支給されるもの(生活保護、求職者支援給付金など)特定の政策目的で一時的に非課税と定められたもの(特別定額給付金など、過去の制度)

ポイント: 受け取った補助金・助成金が「事業に関連するものか」「個人の被災・生活支援など、特定の非課税事由に該当するか」をよく確認することが重要です。不明な場合は、交付元の情報を確認するか、税務署や専門家にご相談ください。

確定申告での具体的な処理方法【個人事業主・フリーランス向け】

事業所得として課税対象となる補助金・助成金を受け取った場合の、帳簿づけと確定申告での取り扱いを見ていきましょう。

  1. 勘定科目の使い方
    • 多くのケースでは、「雑収入」や「受取補助金」といった勘定科目で処理するのが一般的です。
    • ごく稀に、特定の売上取引と密接に一体となって交付される補助金の場合は、例外的に「売上」に含めることも考えられますが、原則は事業の売上とは区別し、「雑収入」などで計上します。
  2. 収入として計上するタイミング
    • 補助金・助成金の収入は、原則として**「入金があった日」**を含む年度の事業所得として計上します。重要なのは「交付決定通知を受け取った日」ではなく、実際にあなたの銀行口座に**お金が振り込まれた日(入金日)**であるという点です。
    例:2025年12月に入金があった補助金は、2025年分の確定申告(2026年初頭に申告)に含めます。2026年1月に入金された場合は、2026年分の確定申告(2027年初頭に申告)に含めることになります。
  3. 消費税との関係
    • 補助金・助成金は、商品やサービスの対価として受け取るものではないため、消費税の課税対象とはなりません(不課税取引)
    • 消費税の確定申告において、補助金収入を課税売上として含める必要はありません。

補助金で購入した経費・資産の扱い

「補助金で支払ったから、その費用は経費にできないのでは?」という疑問をよく耳にしますが、これは誤解です。

  • 補助金を使った支払いも全額経費算入可能! 補助金を使って支払った設備費用や外注費なども、それが事業に必要な支出であり、実際に支払いが行われたのであれば、補助金の有無にかかわらず全額を事業の経費(または減価償却の対象となる資産)として計上できます
  • 処理の流れの例:IT導入補助金で会計ソフト(10万円)を導入し、6.6万円の補助金を受けた場合
    1. 会計ソフト購入時:経費(消耗品費など)10万円 を計上します。
    2. 補助金入金時:雑収入 6.6万円 を計上します。
    結果として、収入(補助金)と支出(経費)の両方を正しく計上することになります。この際、購入の領収書や補助金の交付決定通知書、入金が確認できる通帳のコピーなどは必ず保管しておきましょう。

知らないと危険!個人事業主・フリーランスによくある補助金の申告ミス

多くの個人事業主やフリーランスが見落としがちな、補助金に関する税務上のミスです。

  • 補助金収入の計上漏れ: 最も多いミスです。受け取った補助金を収入として計上し忘れてしまうケース。→ 税務調査で指摘されると、過少申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。
  • 計上する年度の間違い: 補助金の入金年度ではなく、交付決定年度などで計上してしまうケース。→ 収入と経費の計上時期がズレてしまい、正確な所得計算ができなくなります。
  • 補助金で購入した資産・経費を計上しない: 「補助金でもらったお金で買ったから」と、本来経費にできる支出を計上しないケース。→ 正しい所得よりも多く申告してしまい、納める税金が多くなってしまいます(節税機会の損失)。

不安な場合は専門家への相談も検討

補助金や助成金の種類は多岐にわたり、それぞれの取り扱いが微妙に異なる場合や、自分が受け取ったものが課税・非課税どちらに該当するのか判断に迷うケースも少なくありません。

正確な会計処理や確定申告を行うためには、税理士などの税務の専門チカサポとは?相続・税金・登記の悩みをプロに相談できる無料検索サービス家に相談することを検討しましょう。専門家は、個別の状況に合わせて、正しい勘定科目の選択、計上時期の判断、必要な帳簿の整備などをサポートしてくれます。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 事業に関する補助金は、受け取ったら全額課税されますか?

A1. はい、事業の売上補填や経費・設備投資支援を目的とした補助金は、原則として受け取った金額の全額が事業所得として課税対象となります。

Q2. 補助金の交付決定があった年と、実際に入金された年が違う場合は、いつの確定申告で計上すればいいですか?

A2. 原則として、補助金があなたの銀行口座に入金された日を含む年度の確定申告(事業所得の収入として)で計上します。

Q3. 補助金を使ってパソコンを買いました。これも経費で落とせますか?

A3. はい、事業に必要なパソコンであれば、補助金を利用して購入した場合でも、購入費用は経費(または固定資産として減価償却)として計上できます。補助金は収入、購入費用は経費として分けて考えます。

Q4. 国や自治体からの生活支援目的の給付金も確定申告が必要ですか?

A4. 災害支援金や特定の生活困窮者向け給付金など、非課税所得として定められているものは、確定申告の必要はありません。ただし、給付金の性質によっては課税対象となる場合もあるため、ご自身の受け取った給付金が非課税に該当するかどうか、交付元や税務署にご確認ください。

まとめ

補助金や助成金は事業を継続・発展させる上で非常に有効な手段ですが、その税務上の取り扱いには注意が必要です。

  • 事業に関連する補助金は原則課税です。
  • 収入として計上するタイミングは**「入金日」**です。
  • 補助金で購入したものでも、事業用であれば経費計上可能です。
  • 申告漏れや間違いはペナルティにつながる可能性があります。

2025年分の確定申告に向けて、受け取った補助金・助成金の情報を整理し、適切な処理を行いましょう。会計処理や税務申告に少しでも不安がある場合は、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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